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不動産ドクター通信 VOL.55~喉元過ぎても忘れない/激甚災害に向けて~

この記事を書いているのは令和二年8月4日です。
長かった梅雨が明け、一気に夏本番です。
毎年、お盆の前後になると台風が心配になります。
昨年は、台風19号で大変でしたね。

 

その時私は、避難所に行き、避難所運営を行いました。
その時の手記がありますので、長文になりますがご高覧頂ければと思います。

 

避難所もWITHコロナの世界では、今まで通りの収容はできなくなります。
避難所はただでさえストレスフルな場所です。
災害があっても、『自宅が一番安心!』と思えるように、

ご自宅や物件のメンテナンスは益々必要になります。

 

災害に遭ってからでは遅いので、日ごろの備えが大切です。
建物等でお困りのことが有ればいつでもご連絡ください。

・・・それでは、以下、手記を添付いたします。
鈴木豪一郎

 

 

【喉元過ぎても忘れない/激甚災害に向けて】
台風の日の夕方16:00頃、風雨が強くなってきた。
多摩川沿いに住む長い付き合いの独居おばあちゃんが心配になり何度も電話したがつながらず、
家に行ってみると『怖くて茶の間で固まってた』とのこと。
荒れ狂う多摩川の真横。ここにいちゃ危ないからと諭し、避難所に車で搬送。
そこには避難者が受付の列。
 
役所または学校関係者とおもわれる方々が少ない人数でてんやわんや。
ほぼパニック状態。
おばあちゃんを列に並ばせ、私は車を自宅に置きに行き、
家族に事情を話し、避難所に戻ると、たった数十分でさらに避難者の列が長く。
 
おばあちゃんは受付を終え、どこかの部屋(避難教室)に行ったであろう見当を付け、オペレーションに参加。
まずは一通り、学校全体を小走り見て回り、どこにどれだけ避難者や避難所運営者がいるかとその属性を把握。
見る限り(はっきりとした実数はわからないが)避難所の運営者は20人程度いるかいないか
男女比率(4:6)行政の方々と学校関係者、区議さん、あとは町会関係。
たったこれだけの人数でやることは、
 
 
①避難者の受付(名簿作成)
②毛布など物資の搬出
③配給
④炊き出し
⑤教室の机椅子をすべて廊下に出し避難部屋のしつらえ
⑥避難者を体育館に案内
⑦⑤が終わった居室への誘導
⑧誘導待ちをしている方々の呼び出し→整列→教室への誘導
⑨災害対策本部とのやり取り
⑩溢れかえった避難者への対応   等々・・・
細かく言えばきりがないタスク。
 
 
手の足りなそうなところに目星をつけ、私は避難者の呼び出しと誘導。
誘導といっても、皆さんシャキシャキ歩ける方ばかりではない。
数十メートル先にある教室までの遠いこと・・・。
 
 
そうこうしている間に大田区の災害対策本部からの緊急メール。
私は誘導から戻る度に議員さんのメールを見せてもらって確認。
『多摩川の水位が堤防から1.5メートルに達しました、決壊または越水の可能性が高い』との内容。
その後、時間が経過するたび先程の『1.5メートル』が『1メートル』
いよいよ『0.8メートル』と。
一方、消防署(消防団?)からのメールでは『堤防から0.2メートル』という情報も。
上流ではダムの緊急放水
もはや、『決壊!?』
区議さんとの会話。
 
区議さん『鈴木さん、このメールの通り、決壊する可能性があります。
万一決壊の場合、いまこの体育館(一階)も水がくる可能性を否定できない。
その際、健常な方はすぐに上階に避難できるけど、そうでない方は・・・』
 
 
私『この場所はハザードマップでは0.5-3.0mです。
体育館は道路面から1m程度基礎が上がってるが万一の際は危険です。
足の悪い方を優先して上階に避難させましょう。』
 
区議さん『大きな声で言うとパニックに陥り危険なので、
足の悪い人に1人ずつ声をかけて誘導してください、時間がありません』
 
私『わかりました!すぐ開始します。』
こんなやりとり。。。
 
とはいえ、足の悪い高齢者さん、誘導するにもエレベーターの無い小学校でのこと、
自力で3階まで移動は無理。時間もない。

結局、1人ずつ小声で事情を話し、私の背中におぶさってもらうことに。

 
私『おばあちゃん、ちょっとね、ここ危険だからね、3階に移動しよ!』
 
高齢者『え?この足じゃ無理だよ』
 
私『大丈夫おんぶするから』
 
高齢者『おんぶ?いやいや、恥ずかしいし、わるいよアンタに。いいよあたしは』
 
私『まあ、そういわず、行こうよ。こんなイイ男が誘ってんだからさぁ^^』
 
高齢者『わはは、じゃ、甘えていいかい?』
 
こんな感じで諭し、
おんぶして3階まで移動。
横たわる場所を確保、
横にいる人に『このおばあちゃん1人ぼっちだから気にかけてあげてください』と託し、
また次へダッシュ。時間が無い!

かれこれ、5-6人はおんぶで運び、車いすのひとは、

そばにいた避難男性に声をかけ手伝ってもらい、乗ったまま3階へ。
 
 
体育館と3階避難教室の高速ピストンの間に、校門の前を通るのですが、
閉ざされた校門の前には人集り。
 
避難者『避難しにきました。入れてください。』
 
役所の方『すみません!ここは定員になりました。
〇〇小学校と△△センターが避難所として開設しました。そちらに行ってください。』
 
避難者『こんな風のなか一人でやっとの思いで来たんだよ。
○○小学校なんて遠くて無理だよ。』
 
役所の方『でも入れないんです。すみません。』
 
見かねた私『そこのお兄さんたち。
〇〇小学校におばあちゃんも一緒に連れて行ってくれませんか。』
 
お兄さんたちは『了解です!おばあちゃん一緒に行こ!』
こんな感じのやり取り。時には殺気立つ場面も。心が痛む。
 
そんなこんなで、足の不自由な方をおおむね運び終えるころには、
『一階は危険』という噂がパンデミックし、『私も移動させて!』という列ができ始める。
 
さっきスタスタ歩いていた60前後のおじさんも
『俺も足が悪いんだ』といい始める状態。
一方で、避難部屋のしつらえをするために、
机椅子を廊下に搬出するチームから『もう一部屋準備完了』と連絡、
『3階に移動する方はどうぞ』とアナウンス。
一通り、皆さん部屋の配置に収まったところで一息。
いったん、家族の安否確認のために帰宅。
その後、10時頃再度避難所に戻るころには雨あしも弱まった。
 
避難所では、電気を消して就寝している人もいれば、
乳児をトントン抱っこしながら、
(人に迷惑かけないように)エントランス付近にいるパパママが数組。
台風過ぎたみたいだから帰ろうかという人がパラパラ。
 
1人1人お声掛けし
『お帰りの際は受付でお名前を!』
『どちら方面にお帰りですか?』
『多摩川の堤防はまだ危険水域です。
お気を付けください。もし水が来るようであれば上の階に避難してね。』
などとひたすらアナウンス。
こんな感じで11-12時。

12時を過ぎたころには、帰る人は一通り帰り、残る人は残り、、、
一息、知り合いの古民家に異常がないか見に行き。。。
そこから戻り、こんどは、教室の循環パトロール。
(女性や子供も多数いる中で、犯罪が発生する可能性もあるので。)

しばらくこんなことをして、自宅に帰りました。
以上ザッと出来事をまとめてみました。

 
 
【思ったこと/課題】
①いざという時はパニックや殺気立つこともリアルにあるんだな。
 それにも弾力をもって向合わないと修羅場になる
②人が足りない。行政、町会、PTA以外にもボランティアを集めないと無理
③大規模の地震などの場合はこの比ではない避難者がくると思われる
④大田区では増える高齢者障害者の避難に対する仕組みを作らないと・・・絵に描いた餅
⑤避難所内でも避難者同士の小競り合いが起きていた。『お互い助け合いましょう!』
 『一人身の高齢者の方々に気をかけてあげてくださいね』というアナウンスを積極的に。
⑥○○避難所開設などの、公的アナウンス(押し出し型)が必要
⑦高齢者はとりわけ情報難民になるので、放送塔スピーカーなどでアナウンス必要
⑧自宅から出ることができない高齢者障害者の方々をどうするか

 
今回多くのことを学びました。
公助・共助・自助とあるけれど、やはり公助のインフラが無いと共助も自助も微力(大事だけど)。
来る南海トラフや首都直下型地震等に向けて、災害に強いまちづくりが改めて必要だと実感。
今回のことで課題をあぶりだし、改善し、活かさなければ・・・。

最後に、避難所のオペレーションに関し、献身的に動いてくださった皆さんに感謝します。
被災された方々にはお見舞い申し上げます。

 

不動産ドクター

鈴木豪一郎

 

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